【中小企業の経営者なら知っておきたい】貸倒引当金に関する税務

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※新宿駅南口からの眺め

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

前回は、貸倒損失の税務上の取扱いについて解説しました。

今回は、債権に回収懸念が生じている場合に計上する「貸倒引当金」の税務上の取扱いについて解説します。

貸倒引当金とは?

貸倒引当金とは、売掛金や受取手形、貸付金などの債権について、将来に貸倒れが生じる懸念がある場合に、回収不能額をあらかじめ見積り計上しておくものです。

会計上は、過去の貸倒実績率に基づき計算する方法や、個々の債権ごとに回収不能額を見積もることにより計上しますが、税務上は経費(損金)にできる金額に一定の制限があります。

法人税法における貸倒引当金には、

  • 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金
  • 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金

の2種類があり、それぞれについて税法では異なる計算方法が採用されています。

以下、それぞれの貸倒引当金の計上要件と、損金算入限度額の計算方法について解説します。

(注)平成24年度税制改正により、資本金1億円超の会社、または資本金5億円以上の法人の100%子会社は、税務上、貸倒引当金の計上が認められなくなりました。
以下は、上記に該当しない中小企業における貸倒引当金の取扱ですのでご注意ください。

 

個別評価金銭債権に対する貸倒引当金

個別評価金銭債権とは?

個別評価金銭債権とは、俗にいう不良債権のことです。

法人税法では、以下の債権が該当します。

1.長期棚上げ債権

債務者の次の理由により、弁済が猶予されている債権

  • 会社更生法による更生計画認可の決定
  • 民事再生法による再生計画認可の決定
  • 特別清算に係る協定の認可
  • 上記に準じるもの

2.事業好転の見通しがない金銭債権

以下の事由により、金銭債権の一部の金額について回収の見込みがないと認められる債権

  • 債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む事業に好転の見通しがない場合
  • 天災、経済事情の急変等により多大の損失を被った場合

3. 破産申立、更生手続等の開始申立、手形取引停止処分

債務者に次の事由が生じている債権

  • 会社更生手続開始の申立て
  • 民事再生手続開始の申立て
  • 破産の申立て
  • 特別清算開始の申立て
  • 手形交換所による取引停止処分

 

上記のうち、要件が明確で分かりやすいのは1と3です。

いずれも法的手続が要件となっているので、実務上も判断に迷うことはありません。

 

一方、やっかいなのが2のケースです。

  • 債務超過の状態が相当期間継続
  • 事業に好転の見通しがない

の2つが要件となっていますが、「相当期間」とはどの程度をいうか、何をもって「事業に好転の見通しがない」というかは明確ではなく、実務上、判断に迷うことが多い部分です。

顧問税理士と相談の上、慎重な対応が必要です。

 

個別評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額

繰入限度額は、上記の分類ごとに以下のとおりです。

1.長期棚上げ債権

弁済猶予額のうち、決算から6年目以降に弁済が予定されている金額

2.事業好転の見通しがない債権

取立て見込がないと認められる金額

3.破産申立、更生手続等の開始申立、手形取引停止処分

金銭債権の50%相当額(担保権の実行などにより回収見込みがある金額を除く)

 

一括評価金銭債権に対する貸倒引当金

一括評価金銭債権とは?

税務上、一括評価金銭債権とは不良債権に該当しない債権のことです。

不良債権でないものにまで貸倒引当金を計上できるのかと疑問に思うかもしれませんが、実際には貸倒れの兆候がない売掛金や貸付金でも、一定の確率で貸倒れが発生する可能性があるため、貸倒引当金の計上が認められています。

 

一括評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額

一括評価金銭債権については、以下の2つの方法による計算が認められています。

  1. 貸倒実績率による計算
    繰入限度額=期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額×貸倒実績率
  2. 法定繰入率による計算
    繰入限度額=(期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額ー実質的に債権とみられない額)×法定繰入率

1は過去3年間の貸倒損失の平均値により計算する方法、2は税法で決められた繰入率を用いて繰入額を計算する方法です。

いずれか有利な方(繰入額の大きい方)を選択できます。

繰入額の計算は税理士が計算しますので、経営者のみなさんは2つの計算方法があることを知っていればよいでしょう。

したがって、計算の詳細は割愛します。

 

以上、貸倒引当金に関する税務上の取扱について解説しました。

特に個別評価金銭債権のうち、「事業好転の見通しがない債権」に対する引当金の計上については、税務当局との間で事実認定に相違が出る場合があるため、慎重な判断が必要です。

該当する債権がある場合には、顧問税理士とよく相談のうえ処理するようにしましょう。


東京・世田谷区の藤村総合会計事務所

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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。