【中小零細企業の節税術】賃上げすると税金を減らせる!所得拡大促進税制を活用しよう。

20170325tax

今回は、中小零細企業が節税を考える上で外せない「所得拡大促進税制」について取り上げます。

所得拡大促進税制とは?

所得拡大促進税制とは、簡単にいうと「従業員に支払う給与を増やしたら、増やした金額の一定割合だけ税金を減らしてあげるよ」という税制です。

個人所得の拡大を図るため、平成25年度税制改正で創設された税制ですが、その後段階的に適用要件が緩和されたため、適用可能な企業の裾野が広がっています。

節税を考えたい企業経営者の方は、必ず本税制の適用をご検討ください。

適用期間

平成25年4月1日から平成30年3月31日までの5年の間に開始する各事業年度です。

したがって、3月決算であれば平成30年3月期まで、12月決算であれば平成30年12月期まで適用可能です。

税額控除額

税額控除額=雇用者給与等支給増加額× 10%
ただし、法人税額の10%(中小企業は20%)が上限

中小企業とは、以下にすべてに該当する会社です。

  • 資本金が1億円以下の法人であること
  • 資本金1億円超の法人に、発行済株式総数の1/2以上を保有されていないこと
  • 常時使用する従業員の数が1000人以下であること

「雇用者給与等支給増加額」については後述します。

ここではざっくりと、「増やした給与の10%分、税金をまけてくれるんだな♪」と理解しておいてください。

適用要件

本税制を適用するには、3つの要件をクリアする必要があります。

以下、順番に説明していきましょう。

3つの年度

具体的な要件に入る前に、適用要件の理解に必要な「3つの年度」について説明します。

3つの年度とは、

  • 基準年度
  • 適用年度
  • 比較年度

これらがそれぞれ何を意味しているかというと、以下のとおりです。

基準年度
基準年度とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち、最も古い事業年度の直前の事業年度をいいます。
3月決算であれば平成25年3月期、12月決算であれば平成25年12月期が「基準年度」となります。
適用年度
適用年度とは、本税制を適用する年度のことをいいます。
 比較年度
比較年度とは、適用年度の前事業年度のことをいいます。

ここでは、まず自社の基準年度がいつになるのかをしっかり確認しましょう。

それでは、具体的な要件を一つひとつみていきます。

要件1

適用年度の雇用者給与等支給額 ー 基準年度の雇用者給与等支給額 ≧ 基準年度の雇用者給与等支給額×3%(注:増加割合)

適用年度と基準年度を比較して、雇用者給与等支給額が3%以上増加していることが、1つめの要件です。

雇用者給与等支給額とは、国内の雇用者給与総額から、

  • 役員報酬
  • 役員の親族・関係者に対する給与
  • 退職金

を除いたものをいい、賞与やパート、アルバイトに対する賃金を含みます。

簡単にいうと、国内の従業員、パート、アルバイトに対する給与・賞与の合計額のことです。

役員報酬や退職金は含まないことに注意してください。

なお、適用年度と基準年度を比較した場合の雇用者給与等支給額の増加額のことを、「雇用者給与等支給増加額」といいます。

税額控除額を計算する際に必要になりますので、この用語も頭の片隅に入れておいてください。

(注)増加割合
増加割合は、大企業と中小企業では異なります。
中小企業の場合:平成28年4月1日以後開始する事業年度は3%
大企業の場合:平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度は4%、平成29年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度は5%

要件2

適用年度の雇用者給与等支給額 ≧ 比較年度の雇用者給与等支給額(比較雇用者給与等支給額)

要件2は前事業年度(比較年度)との比較です。

適用年度の雇用者給与等支給額が、比較年度以上であることが必要です。

以上2つの要件をまとめると、以下のようなイメージになります。

【2つの要件をクリアするケース】

2017 03 25 1723

【2つの要件をクリアできないケース】

2017 03 25 1726

要件3

平均給与等支給額 > 比較平均給与等支給額

平均給与等支給額とは、適用年度の継続雇用者に対する給与等支給額を当該継続雇用者の月ごと延べ人数の合計で割った金額をいいます。

ここで、継続雇用者とは、適用年度およびその前事業年度において給与等の支給を受けた国内雇用者のことをいいます。両年度において給与の支給を受けている必要があるので、適用年度に入社した方や、前年度の退職者は含みません。

また、継続雇用者の給与等支給額とは、適用年度の雇用者給与等支給額のうち、雇用保険法の一般被保険者である継続雇用者にかかる金額の合計額から、高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度の対象者にかかる金額を引いた金額のことをいいます。

といっても、これでは何のことだかよくわからないと思います。

ざっくりいうと、

雇用保険の一般被保険者である継続雇用者(一般的には、前事業年度から引き続き雇用されている正社員が該当します)の平均給与について適用年度とその前事業年度を比較した場合に、前者が後者を超えていること

が3の要件です。

要件3の判定は、多くの場合、人事担当者や顧問税理士が行います。

経営者の皆様は、「正社員の1人あたり平均給与が前年度より上がっていればいいんだな」くらいの理解で良いでしょう。

税額控除額の計算

以上の3要件をクリアすると、以下で計算される税額控除が受けられます。

税額控除額=雇用者給与等支給増加額× 10%
ただし、法人税額の10%(中小企業は20%)が上限

雇用者給与等支給額は、基準年度と比較した場合の雇用者給与等支給額の増加額です。

そのうち10%の税額控除が受けられます。

控除税額の上限は、中小企業の場合、法人税額の20%です。

平成29年度税制改正では、中小企業の所得拡大促進税制において、税額控除の上乗せが予定されています。

具体的には、税額控除額は以下の2つの合計額とされる見込みです。

  1. 雇用者給与等支給増加額 × 10% ←現行制度と同様
  2. (雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)× 12% ←税制改正により追加

2つめの要件は、前事業年度からの賃上げに対して追加的なインセンティブを与えるもので、中小企業の一層の賃上げを促進するための改正と考えられます。

また、住民税(法人税割)の計算基礎となる法人税額も、税額控除後の金額になります。

したがって、本税制の適用は住民税の節税にもつながります。

おわりに

所得拡大促進税制は、従業員等に支払う給与を増加させた場合に、増加額に応じた税額控除を認める制度です。

段階的に要件が緩和されたことによって、適用可能な企業の裾野が広がったことに加え、平成29年度税制改正後は、特に中小企業にとって税額控除の恩典が拡大されます。

節税を考えたい経営者の皆様は、本税制の適用をぜひご検討ください。


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東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。