【これだけは知っておきたい!】中小零細企業の経理実務〜引当金って何?

20170403

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

会計を学ぶと出てくる「引当金(ひきあてきん)」という用語。

ちょっと分かりづらいですよね。

未払金や借入金が負債になるのは分かりやすいですが、引当金が負債になるのはなんでだろうと思ったことはありませんか?

今回は初学者には分かりづらい引当金について取り上げます。

引当金とは?

企業会計原則では、引当金は以下のように定義されています。

将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。

この定義では、引当金の要件として以下の3つが読み取れます。

  1. 将来の費用(損失)の原因が既に発生している
  2. 将来の費用(損失)の発生の可能性が高い
  3. 将来の費用(損失)の金額が合理的に見積もられる

この3つの要件をクリアする場合には、当期の負担分を引当金として計上しなさいといっているわけです。

修繕費を例に考える

ここでは、修繕費用を例に考えてみます。

不動産賃貸業を営むA社では、3年に一度、賃貸物件の大規模な修繕が必要です。

修繕にかかる費用は、業者との契約で900万円と決まっているとします。

この場合の経理処理をみてみましょう。

引当金を計上しない場合

まず引当金を計上しない場合のPLがどうなるか考えてみましょう。

引当金を計上しないとすると、修繕費を支出したタイミングで費用処理することになるので、PLは以下のようになります。

2017 04 03 0837

修繕費以外の金額は一定とすると、最初の2年間は毎期500万円の営業利益が出ますが、3年目は修繕費の支出があるため△400万円の赤字になります。

この決算をみて皆さんはどのように感じるでしょう?

なんかいびつだなと思いませんか?

修繕の原因となる事実(摩滅・消耗などの経年劣化)は各期で同様に生じているわけです。

にもかかわらず、修繕にかかる費用を3期目だけに負担させるのは、事実を正しく表してないんじゃないかと感じませんか?

引当金を計上する場合

では、どのように経理処理すれば、事実を正しく描写した経理処理になるでしょうか。

そこで必要となるのが「引当金」です。

2017 04 03 0838

A社では3年周期で修繕を行っているので、修繕費用900万円を3年間で均等に計上します。

したがって、ここでは毎期300万円を修繕引当金繰入として計上しています。

仕訳は以下のとおりです。

(借方)修繕引当金繰入 300   (貸方)修繕引当金 300

実際の支出は修繕が行われる3期目に生じますが、それ以前の期に先行して費用計上を行う格好になっています。

その結果、発生する貸方項目が引当金というわけです。

このPLを見ると、毎期同額(200万円)の営業利益が計上されています。

修繕の原因となる事実は毎期発生しているわけだから、毎期均等に修繕費を計上すべきと考えると、こちらのPLのほうが事実を正しく描写していると考えられます。

引当金の3要件

ただし、何でもかんでも引当金として計上できるわけではありません。

冒頭に説明したとおり、引当金には、

  1. 将来の費用(損失)の原因が既に発生している
  2. 将来の費用(損失)の発生の可能性が高い
  3. 将来の費用(損失)の金額が合理的に見積もられる

の3要件が求められます。

修繕費について見てみると、

  • 修繕の原因となる経年劣化が既に発生している⇒要件1をクリア
  • 3年周期で修繕することが決まっている⇒要件2をクリア
  • 修繕費用(金額)は業者との取り決めで決まっている⇒要件3をクリア

と3要件をクリアしているので、引当金として計上できるわけです。

仮に将来の修繕費が不確定の場合には、修繕引当金は計上できません。

引当金の種類

では、このような引当金にはどのようなものがあるでしょうか?

実務上は、以下のような引当金の種類があります。

債務性があるもの
賞与引当金・退職給付引当金・製品保証引当金(製品保証等引当金)・売上割戻引当金・返品調整引当金・工事補償引当金・特別修繕引当金・役員賞与引当金・工事損失引当金

債務性がないもの
修繕引当金・債務保証損失引当金・損害補償損失引当金

債務性の有無は、引当金の対象となる支出に法的な債務があるかないかという区分です。

なお、債務性の有無に関わらず、引当金の要件を満たすものは計上しなければなりません 。

引当金の税務上の取扱い

なお、会計上は以上の引当金の計上が認められていますが、法人税法上は、実際に支出があった年度で経費処理(損金算入)するのが原則です。

会計上は、先に示したような様々な引当金がありますが、税務上は、「貸倒引当金」と「返品調整引当金」のみが認められています。

以上、引当金に関する解説でした。


東京・世田谷区の藤村総合会計事務所

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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。