消費税の2つの計算方法〜原則課税と簡易課税

20170612

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

今回は、消費税の2つの計算方法、原則課税と簡易課税を取り上げます。

原則課税と簡易課税

現行の税制(平成29年6月現在)では、消費税の税率は一律8%ですが、実際に消費税の納税額を計算する方法には、「原則課税」と「簡易課税」の2つの計算方法があります。

以下、それぞれの計算方法を紹介しましょう。

原則課税とは?

「原則課税」とは、文字どおり原則的な消費税の計算方法です。

消費税は、売上に伴って顧客から「預かった消費税」から、仕入や経費支出、設備投資などで実際に「支払った消費税」を差し引いて計算するのが基本です。

消費税の納税額 = 売上に係る消費税(預り消費税)− 仕入や経費、設備投資に係る消費税(支払い消費税)

この基本どおりに計算するのが「原則課税」です。

原則課税では、預り消費税から支払い消費税を差し引いて納税額を計算するので、取引のつど、消費税がかかる取引なのか、そうでないのか(課税取引か否か)を確認していかなければなりません。

したがって、経理処理が大変煩雑となる計算方法です。

また、課税取引かどうかの判定が難しい場合も多く、税務調査に当たり問題となるケースも多いです。

したがって、日々の経理処理にあたっては、顧問税理士などの専門家の指導やチェックが欠かせません。

なお、多額の設備投資を行った場合など、

預り消費税 < 支払い消費税 

となる場合には、超過する金額が還付されることになります。

【参考記事】

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 簡易課税とは?

一方、簡易課税は、原則課税のように、預り消費税から実際に支払った消費税を差し引いて計算するのではなく、預り消費税に、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を乗じた額を「支払い消費税」とみなして、納付税額を計算します。

消費税の納税額 = 預り消費税 − 預り消費税×みなし仕入率

簡易課税は、前々期の課税売上高が5000万円以下の事業者にだけ認められています。

仕入や経費支出について、課税取引かどうかの判定が不要になるため、小規模事業者にとっては経理処理を簡便化することが可能です。

みなし仕入率は、事業区分ごとに以下のとおり定められています。

  • 第一種事業(卸売業):    90%
  • 第二種事業(小売業):    80%
  • 第三種事業(製造業等):   70%
  • 第四種事業(その他の事業): 60%
  • 第五種事業(サービス業等): 50%

複数の事業区分にまたがって事業を営んでいる場合には、原則として、加重平均したみなし仕入率を用いて計算します。

 どちらが得か?

前々期の課税売上高が5000万円以下の事業者の場合、原則課税、簡易課税のどちらも適用が可能です。

したがって、会社にとって有利な方(納税額が少なくなる方)を選択すれば良いわけです。

では、原則課税と簡易課税のどちらがオトクなんでしょうか?

もちろん会社の置かれた状況により結論は異なるのですが、一般的には簡易課税のほうが節税になるケースが多いです。

特に、不動産賃貸業を営んでいるような場合には、課税仕入となる取引(課税対象となる仕入れや経費)が限定的ですから、特段の事情がない限り、簡易課税を選択したほうが有利でしょう。

原則課税、簡易課税のどちらを適用すべきかお悩みの場合には、顧問税理士に相談してみましょう。

事業計画等をもとに、どちらが有利かシミュレーションしてくれるはずです。

簡易課税の注意点

最後に、簡易課税を適用する場合の注意点です。

簡易課税には事前の届け出が必要

簡易課税を採用する場合、適用年度の前年度末までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります(設立事業年度の場合には、その事業年度の末日まで)。

事前の届け出が必要なので、原則課税との有利判定は早めに検討しましょう。

簡易課税の2年しばり

簡易課税を採用した場合、以後2年間は簡易課税の適用が強制されます。

つまり、「簡易課税を適用した翌年に、原則課税に戻る」ということは出来ないのです。

これは、次に述べる消費税還付との兼ね合いで注意が必要です。

簡易課税では還付が受けられない

簡易課税は、「実際に支払った消費税」ではなく、「みなし仕入率を用いて計算した消費税(=預り消費税×みなし仕入率)」を差し引いて納税額を計算します。

したがって、計算構造上、消費税の還付(預り消費税<支払い消費税 となるケース)は生じません。

つまり、簡易課税を適用している場合には、消費税の還付は受けられないのです。

しかし、通常は簡易課税の方が有利となる会社でも、多額の設備投資を行った場合には、原則課税を適用して消費税還付を受けたほうが得となる場合があります。

この場合には、事前に「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出して、「原則課税」に戻ったうえで消費税還付を受ける必要があります。

この点、上述のとおり簡易課税には「2年しばり」がありますから、大規模な設備投資などが予定されている場合には、今後数年間の投資計画等を見据えた上で、簡易課税・原則課税の適用関係を整理する必要があります。

該当する事業者の場合、顧問税理士と相談のうえ、慎重な対応が求められます。


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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。