【知っておきたい法人税務の基本】受取配当金の益金不算入とは?

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こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

今回は、受取配当金の益金不算入について、制度趣旨と計算方法を解説します。

受取配当金の益金不算入とは?

会社が投資先から受け取る配当金は、会計上は「受取配当金」として収益(通常は営業外収益)に計上されます。

したがって、損益計算書の当期純利益に含まれることになりますが、法人税の計算にあたっては「課税所得」(税務上の利益)から除かれます。

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このことを「受取配当金の益金不算入」といいます。

益金とは、税務上の収益のことです。

税務上の収益(益金)に算入されないため、「益金不算入」というわけです。

 

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受取配当金が益金不算入となる理由

受取配当金が益金不算入となるのはなぜでしょうか?

一般的には、二重課税を排除するために設けられた制度と説明されます。

では、「二重課税」とは何か、以下の例で考えてみましょう。

これは投資先の損益計算書です。

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この会社は、当期純利益1,400をもとに、配当金500を株主に支払っています。

ここで、当期純利益1,400は、税引前利益2,000から法人税等600を差し引いて計算されたものです。

法人税を負担した後の利益なので、当期純利益1,400は課税済みの利益です。

したがって、配当金500は、課税済みの利益をもとに支払われたものといえます。

 

ところで、支払われた配当金が、法人株主の課税所得の計算にあたり、益金に算入されるとしたらどうなるでしょう。

受取配当金が課税所得の中に入ってしまいますから、さらに課税されることになります。

投資先の段階でいったん課税されたものが、株主の段階で再び課税されるので、「二重課税」となってしまいますね。

これを避けるために、受取配当金の益金不算入制度があります。

 

受取配当金の益金不算入の範囲

益金不算入制度は、上記のとおり二重課税の排除を目的にした制度であるため、配当金を支払う法人においてすでに課税されたものに限定されます。

益金不算入の対象となる配当等

  1. 剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配の額
  2. 特定株式投資信託の収益の分配の額など
  3. みなし配当
3のみなし配当とは、会社法上は剰余金の配当・分配等にあたらないものの、その実態が利益配当とみなされるもののことです。例としては、自己株式取得に伴い金銭が交付される場合などがあります。
 

益金不算入の対象とならない配当等

  1. 外国法人・公益法人・人格のない社団等から受ける配当
  2. 協同組合等の事業分量分配金
  3. 相互保険会社の基金利息
  4. 保険会社等の契約者配当金
  5. 名義書換失念株の配当金
  6. 資本積立金の資本組み入れ
  7. 短期所有株式等にかかる受取配当金

 

7.の短期所有株式等にかかる受取配当金とは、配当金の元本となる株式等を、配当の計算期間の末日以前1ヶ月以内に取得し、かつ、その末日から2ヶ月以内に譲渡した株式等のことを指します。

一般に株式は、配当を交付した後の権利落ちにより株価が下落しますが、その下落による売却損を損金として計上する租税回避が行われる恐れがあります。

これを避けるために、益金算入される配当等の一つとして扱われます。

上記の7項目は、支払法人で損金処理していること、株主として支払いを受けていないこと、二重課税に関係しないことを理由に、益金不算入の対象とならないものとされています。

 

益金不算入額の計算

受取配当金のうち益金不算入に出来る割合は、株式の持分比率によって以下のとおり決められています。

  1. 完全子法人株式等(株式保有割合が100%)・・・100%益金不算入
  2. 関連法人株式等(株式保有割合が1/3超100%未満)・・・100%益金不算入(負債利子控除あり)
  3. その他の株式等(株式保有割合が5%超1/3以下)・・・50%益金不算入
  4. 非支配目的株式等(株式保有割合が5%以下)・・・20%益金不算入

100%子会社から受け取った配当金は、全額を益金不算入とできますが、持株割合が5%以下の会社から受け取った配当金は20%しか益金不算入とできません。

 


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東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。