分かったようで分からない「資本金等の額」を理解しよう。

20170619

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

 

税務に携わっているとあちこちに出てくる「資本金等の額」という用語。

きちんと理解できているでしょうか?

今回は、「資本金等の額」とは何か、どのような場面で使われるのかを確認します。

 

「資本金等の額」とは?

「資本金等の額」とは税務上の概念で、会計上の「資本金+資本剰余金」にほぼ相当します。

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企業会計の世界では、自己資本を、株主が出資した「拠出資本」と、その出資を運用して得た利益からなる「稼得資本」に区別します(資本・利益区分の原則)。

拠出資本に該当するのが「資本金」「資本剰余金」、稼得資本に該当するのが「利益剰余金」です。

 

税務上もこれに対応する形で「資本の部」を区分しています。

「拠出資本」に該当するのが「資本金等の額」、「稼得資本」に該当するのが「利益積立金」です。

したがって、「資本金等の額」は、ほぼ会計上の「資本金+資本剰余金」に相当します

厳密には、両者の間にはいくつかの相違点がありますが、これについては後述します。

 

「資本金等の額」 が使われる場面

「資本金等の額」はどのような場面で使われるのでしょうか?

代表的なものを見てみます。

 

法人住民税均等割

これは、ご存じの方も多いかもしれません。

均等割の税率区分は「資本金等の額」と「従業員数」によって決まります。

たとえば、東京都の場合は以下のとおりです。

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【参考記事】

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外形標準課税(事業税)

「資本金等の額」は、外形標準課税の資本割を計算する際の「課税標準」としても利用されます。

外形標準課税とは、資本金1億円超の法人を対象とした法人事業税の課税制度です。

 

法人税は企業の儲けである「所得」を課税標準として課税がなされますが、資本金1億円超の法人の事業税は、所得だけではなく、企業の規模も課税の対象となります。

企業規模という「外形」が課税標準(課税対象)となることから、「外形標準課税」を呼ばれます。

 

外形標準課税の対象法人となると、会社の儲けとは関係なく企業規模に基づき課税されるので、たとえ会社の決算が赤字であっても課税が生じます。

この外形標準課税では、所得だけでなく資本金等の額をもとに「資本割」が課されます。

資本割の額は、以下のとおり計算されます

資本割の額 = 資本金等の額 × 0.525% 
(注)平成28年4月1日から平成31年9月30日までに開始する事業年度の場合

 

外形標準課税の対象法人の場合、事業税には以下の3種類があります。

  • 所得割
  • 付加価値割
  • 資本割

このうち、付加価値割と資本割が会社規模(外形)に着目した課税方式です。

 

法人税

寄附金の損金算入限度額やみなし配当の計算を行う際に、「資本金等の額」が利用されます。

【参考記事】

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注意点

「資本金等の額」は会計上の「資本金+資本準備金」とほぼ対応する概念ですが、いくつか相違点があります。

特に注意すべき点は、以下の3点です。

無償増資・無償減資は加味しない

原則として、資本金等の額には無償増資・無償減資による増減は加味されません。

株主との間で現実に資金のやり取りが無い場合には、資本金等の額は増減しません。

したがって、無償増資・減資がある場合には、会計上の資本金、資本準備金からその金額を控除した合計額が、「資本金等の額」になります。

 

自己株式がある場合

会社が自己株式を保有する場合、「資本金等の額」から控除されます。

したがって、自己株式がある場合の「資本金等の額」は次のようになります。

資本金等の額 = 資本金 + 資本準備金 − 自己株式

事業税・住民税の特例規定

上述のとおり無償増資・減資は「資本金等の額」に含まれませんが、事業税(外形標準課税)と住民税(均等割)の計算上は、以下の特例規定があります。

以下の無償増資・減資は、資本金等の額に含める。

■無償増資額:

・「利益準備金」又は「その他利益剰余金」を資本金に振替えたもの(H22.4.1以後)。

■無償減資等による欠損填補額:

・無償減資や、資本準備金の減少により欠損填補を行った金額(H13 4/1~H18 4/30)

・資本金又は資本準備金を「その他資本剰余金」に振替後、1年内に剰余金による損失の補填に充てた金額(H18/5/1以後)

過去に欠損填補を行っている場合には、その額を「資本金等の額」から控除できるので、資本割(外形標準課税)や均等割(法人住民税)の税額を引き下げられる可能性があります。

 

おわりに

以上、なかなか分かりにくい「資本金等の額」について解説しました。

本稿では解説していませんが、その他にも、

  • 資本割の持株会社特例
  • (中小企業には関係しませんが)資本金1000億円以上の会社の資本割圧縮措置
  • 均等割の計算に関するH27年度改正(資本金等の額<資本金+資本準備金の場合、資本金+資本準備金を基準として均等割を決定するもの)

といった注意すべき論点があります。

 

該当しそうな会社の場合、顧問税理士と情報共有して、誤りのない申告を心がけましょう。


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東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。