知っておきたい節税策〜社宅を使った節税について

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こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

法人だからできる節税策のひとつ、社宅。

今回は、社宅を使った節税策を紹介します。

社宅とは?

社宅とは、法人が賃貸住宅を借り上げて、それを経営者・従業員に貸し出すものです。社員からは、家賃として一定額を徴収します。

一般に、賃貸住宅は個人が不動産オーナーと賃貸借契約を結びますが、間に法人をかませることにより節税を図ることが可能になります。

以下で、その仕組みを紹介しましょう。

社宅が節税になる仕組み

社宅がなぜ節税につながるのか説明しましょう。

ここでは、経営者が社宅を利用するケースを取り上げます。

経営者個人が直接、家主と契約する場合

個人が住宅を借りる場合は、通常、不動産オーナー(家主)との間で直接、賃貸借契約を結びます(個人契約)。

この場合、自宅で仕事をしているならば、家賃のうち仕事に使っている部分に相当する金額(面積割などで計算)を、必要経費にできます。

しかし、別に事務所を借りていて、自宅を仕事にまったく使っていない場合には、必要経費に入れることはできません。

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会社が住宅を借り上げ、経営者に貸し出す場合

これに対して、会社が社宅を借り上げて、経営者に貸し出した場合はどうなるでしょう。

以下のような関係です。

スクリーンショット 2017 08 10 15 30 37

上図をみると、個人(経営者)は会社に2万円の社宅家賃を支払って、10万円の賃貸住宅を借りている格好になっています。

したがって、差額の8万円は実質的に会社から補助(経済的利益)を受けていることになりますが、 この差額分については(2万円の社宅家賃が妥当な水準であれば)給与として課税されません。

会社にとっては、家主に支払う10万円と経営者から受け取る社宅家賃2万円の差額8万円は、経費(地代家賃)として処理できます。このケースでは、賃借人である経営者個人が仕事に全く使用していなくとも、家賃の大部分を経費として処理できるわけです。この差は大きいですね。

ところで、先の個人契約のケースでも、会社が8万円を住宅手当として支給すれば、経済効果は同じように思われるかもしれません。しかし、この場合8万円の住宅手当は給与として課税されるため経営者の手取り額は減ってしまい、さらには会社の負担する社会保険料も増えてしまいます。これでは、経営者・会社ともに損です。

まとめると、

  • 個人にとってのメリット:会社から受けている補助金額(実際の家賃と会社に支払う社宅家賃の差額)が給与課税されない。
  • 会社にとってのメリット:適正な社宅家賃を徴収している限り給与認定されないため、社会保険料の負担が生じない。また、家賃の大部分を経費処理できる。

となります。

オーナー企業にとっては会社も経営者も一体ですので、社宅の利用によって、両方のメリットを手にすることができます。

さらには、会社の家賃負担が増えた分だけ役員報酬を減らせば、所得税・住民税、社会保険料をトータルで減らすこともできます。

会社・個人の双方にとって、社宅の利用は節税に大きな効果があります。

適正な社宅家賃の水準は?

では、個人が負担すべき適正な社宅家賃の金額は、どのように計算すればよいのでしょうか。

算定方法は、以下のように定められています。

※ここでは、役員に対して「小規模な住宅」を社宅として提供した場合を例に取ります。

役員に貸与する社宅が小規模な住宅である場合

次の(1)から(3)の合計額が賃貸料相当額になります。

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

(出所)国税庁HP

小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。

面倒な計算式ですが、適正な社宅家賃(賃貸料相当額)は上記のとおり計算します。

一般的な家賃相場に比べて、1〜2割程度の水準になることが多いです。

社宅の形態には、賃借人が経営者・従業員のケース、物件が自己所有か借り上げか、社宅の規模などで様々な種類があります。それぞれについて税務上の取扱いがどのようになっているかは、国税庁HPまたは顧問税理士にご確認ください。

固定資産税の課税標準額

ところで、上記算式の中に「固定資産税の課税標準額」という用語が出てきます。

これはどのように調べればよいのでしょうか。

固定資産税は物件の所有者が負担する税金であるため、家主でなければわからないと思われがちですが、「固定資産評価証明書」を入手することで確認することができます。

「固定資産評価証明書」は物件所有者のほか、借地人、借家人であれば取得でき、手数料はおおむね200円から400円です。

入手先は、市町村役場(東京23区は都税事務所)です。

(参考)東京都主税局HP ←中段あたりに「固定資産評価証明書」の取得方法などの説明があります

家主から「固定資産税の課税標準額」を教えてもらえない場合には、「固定資産評価証明書」を利用して、「賃貸料相当額」を計算することができます。これも知っておくと良いでしょう。

 

以上、社宅を使った節税策の概要を解説しました。

この記事が皆さまのお役に立てば幸いです。


東京・世田谷区の藤村総合会計事務所

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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。