減価償却ってなぜ必要なの?

20161004

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

減価償却という用語を耳にしたことがあると思います。

ただ、その意味を正確に理解できているでしょうか?

今回は、減価償却という手続きが必要となる理由を、会計の基本原則に立ち返って考えてみます。

費用収益対応の原則

減価償却の意義を理解するには、会計の基本原則である「費用収益対応の原則」を知る必要があります。

費用収益対応の原則とは、一般に以下のとおり定義されます。

費用収益対応の原則とは、ある会計期間に発生した費用のうち、その会計期間の収益獲得に貢献した部分だけをその期の期間費用として認識・測定するという期間費用を決定する役割を担った会計原則です。

期間収益と期間費用とを努力と成果という因果関係に基づいて対応計算を行うことで、その努力と成果の結果としての期間損益を計算することが可能になります。

出所:会計学を学ぼう

財務会計では、事業の成果である「収益」から成果獲得のために要した「費用」を差し引いて、正味の成果である「利益」を計算します。

したがって、正味の成果たる「利益」を適正に計算するためには、「収益」と「費用」の間に成果獲得に向けた因果関係がなければなりません。
(売上獲得とは全く無関係な支出を費用としてしまうと、差し引きで計算される利益は無意味な数値になってしまうということです)

費用収益対応の原則は、適正な期間損益計算(ラフにいうと、きちんとした利益計算)を行うために必要となる、会計の基本原則です。

費用収益の対応のしくみ

商品販売業を例に考えてみます。

A社は1種類の商品のみ取り扱っているとします。

期首(年度の初め)に10個の商品を在庫としてもっています。

年度中に商品を1000個仕入れて期末(年度の終わり)に、在庫として20個残ったとします。

年度中に売れた商品の数は、

期首 10個+仕入れ 1000個−期末 20個=販売個数 990個

となります。

仕入単価は前年度から変わらず700円、販売単価は1,000円とすると、A社の損益計算書(PL)は次のとおりとなります。

売上高  990,000円(=1,000円✕990個)

売上原価 693,000円(=700円✕990個)

利益   297,000円

簡単ですね。

ここで、費用収益対応の原則が働いていることはおわかりでしょうか?

販売した990個分の売上高に対して、990個分の原価を対応させることによって、差し引きで利益を計算しています。これが「費用収益対応の原則」です。

仮に、売上高に対して、年度中の仕入高700,000円(=700円✕1,000個)を対応させたらどうなるでしょうか?

990個の売上に対し、1000個分の原価を対応させる計算に、何の意味もないことは理解できると思います。

固定資産の場合はどうなる?

では、いよいよ本題の減価償却です。

上記の例では、商品の販売に関する対応関係を考えましたが、固定資産の場合どのような対応関係を考えればよいでしょうか?

たとえば、製品の製造に使用される機械設備を考えてみます。

機械設備が数年間(たとえば10年)にわたって製造ラインで使用されることを考慮に入れると、取得原価の全額を取得した年度の売上高に対応させるのは不合理です。

10年間にわたって使用されるのであれば、その間の各年度の売上獲得に貢献していると考え、10年間にわたって徐々に費用として計上するのが、費用収益対応の観点から適切であると考えられます。

このように、固定資産について、その使用される年数(耐用年数といいます)にわたって徐々に費用化する手続き(費用配分の手続き)を、「減価償却」といいます。

つまり、固定資産は耐用年数を通じて徐々に使用され、その間の売上獲得に貢献するものですから、その取得原価も使用期間中の各年度に費用として配分する必要があるのです。

これが減価償却が必要となる理由です。

まとめ

  • 費用収益対応の原則とは、収益と費用とを努力と成果という因果関係に基づいて対応計算することで、正味の成果としての利益を適正に計算することを要請する会計の基本原則である
  • 固定資産は耐用年数を通じて売上獲得に貢献するものだから、費用収益対応の観点からは、その取得原価を使用期間中の各年度の費用として配分する必要がある
  • 固定資産の取得原価を各年度の費用として配分する手続きを減価償却という

では、減価償却の計算、すなわち取得原価を期間配分するための計算方法にはどのようなものがあるのでしょう。

それについては、別の機会にお話しましょう。

(それではまた)


東京・世田谷区の藤村総合会計事務所

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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。