減価償却の方法〜定額法と定率法

20161008 2

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

 

以前の記事で減価償却の必要性について、費用収益対応の原則に立ち返って解説しました。

そこでのポイントは、以下のとおりです。

  • 費用収益対応の原則とは、収益と費用とを努力と成果という因果関係に基づいて対応計算することで、正味の成果としての利益を適正に計算することを要請する会計の基本原則である
  • 固定資産は耐用年数を通じて売上獲得に貢献するものだから、費用収益対応の観点からは、その取得原価を使用期間中の各年度の費用として配分する必要がある
  • 固定資産の取得原価を各年度の費用として配分する手続きを減価償却という

今回は、具体的な減価償却の計算方法を解説します。

減価償却の計算方法

減価償却は、固定資産の取得原価を使用期間にわたって費用配分することにより、費用収益の対応を図ることを目的とする手続きです。

では、どのような方法で費用配分するのが合理的でしょうか?

何らかの方法で固定資産の使用割合を測定して、その使用割合に応じて費用配分を行うのが最も合理的ですが、そのような測定は実務上困難ですし、また計算に恣意性が介入するおそれもあります。

そこで、実務上は、資産区分ごとに減価償却の計算方法を定め、その定められた減価償却方法に基づき規則的に計算しています。これは主として、税法からの要請です。

定額法と定率法

減価償却の計算方法には様々なものがありますが、実務上は次の2つの方法を頭に入れておけばOKです。

  • 定額法
  • 定率法

計算の基本となるのは、資産の取得価額と耐用年数(資産の使用可能期間)、償却率です。

以下、それぞれの計算方法について説明しましょう。

定額法

定額法は、固定資産の取得原価を、法定耐用年数の期間で同額ずつ償却していく方法です。

計算式:減価償却費=取得原価 ✕ 定額法の償却率

(例)200万円で耐用年数5年の固定資産を購入
取得原価200万円 ✕ 定額法5年の償却率 0.2=40万円
⇒取得原価200万円を5等分し、5年間で毎年40万円ずつ償却していくことになります。

(※)償却率は資産の耐用年数ごとに決められています。具体的にはこちらをご参照ください。

定率法

定率法は、期首の帳簿価額(=取得原価ー前期末までの償却累計額)に償却率を乗じて償却費を計算する方法です

定率法を用いると耐用年数の最初の方に多めに償却費が計算されます。

計算式:減価償却費=(取得原価ー前期末までの償却累計額) ✕ 定額法の償却率

 

以下、簡単な例で説明しましょう。

(例)200万円で耐用年数5年の物品を購入した場合

1年目:200万×定率法の償却率 0.4=800,000円

2年目:(200万-80万)×0.4=480,000円

3年目:(200万-80万-48万)×0.4=288,000円

4年目:(200万-80万-48万-28.8万)×0.4=172,800円
計算された減価償却費 172,800円<償却保証額 216,000円
⇒償却保証額の方が大きいので、償却保証額が減価償却費となる

5年目:5年目も同様に216,000円を償却

期首の帳簿価額に償却率を掛けて計算していることが、お分かりいただけると思います。

償却保証額とは?

4年目の計算のところで、「償却保証額」という用語が出てきましたので、少し解説しましょう。

じつは、現行の税法で規定されている定率法の計算は「200%定率法」と呼ばれるもので、純理論的な定率法とは異なっています。

具体的には、定率法償却率が、定額法償却率の2倍(200%)に設定されています。

(例)耐用年数5年の場合
・定額法償却率:0.2(=1/5)
・200%定率法償却率:0.4(=定額法償却率0.2 ✕ 200%)

より多めに償却することを認めて、企業の投資を促進しようというのが狙いです。

 

理論的な定率法の償却率(※)を使用すれば、耐用年数が到来した時点で資産の帳簿価額は残存価額(償却可能限度額1円)と一致するのですが、単純に200%定率法償却率を使った計算を続けても、耐用年数が到来した時点で、償却後の帳簿価額が残存価額と一致しません。

そこで、償却率を使って計算した償却費が償却保証額を下回る場合には、償却保証額を減価償却費とするのがルールになっています。

(※)理論的な定率法の償却率
償却率 = 1- (残存価額/取得価額)^(1/n)
n: 耐用年数

なお、償却保証額は、以下の算式で計算します。

償却保証額=取得原価 ✕ 保証率

この例の場合、

償却保証額=200万円✕保証率0.10800=216,000円

となります。

なお、保証率は耐用年数ごとに設定されており、耐用年数表で確認できます。

 

以上、定額法と定率法の計算方法について概観しました。

実務上、減価償却の計算は会計ソフトを使う場合がほとんどですので、細かな点について覚える必要はありません。

大体のところを頭に入れていただければ結構です。

長くなりましたので、今回はここまで。

次回は、定額法・定率法の選択方法と耐用年数の決定方法について解説します。

(それではまた。)


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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。