役員報酬の税務〜まずは全体像から解説します。

20161114 2

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

今回から数回にわたって、役員報酬(給与・賞与)をめぐる税務について解説します。

今回は役員報酬に関する税務上の取扱いの全体像をお話します。

役員への報酬には制限が多い

会社で働いている人への報酬という点では、従業員への報酬も役員への報酬も同じに見えます。

しかし、税務上、両者の取扱いは大きく異なります。

なぜなら、役員は経営者として会社の重要な意思決定を行えるという点で、従業員と立場を異にするからです。

特に、会社所有者(株主)と経営者(役員)が一致する中小零細企業の場合、事実上、会社に関わる意思決定の全てを、所有者である役員が支配することが出来ます。

したがって、たとえば、予想以上に会社の利益が膨らんでしまった場合に、会社の利益を報酬として経営者個人の利益に移しかえることによって、会社の利益を圧縮し、法人税負担を回避することが可能です。

役員報酬は、法人税逃れの手段として利用することも可能なのです。

そこで、法人税法では、役員報酬を操作することによる課税逃れを防ぐために、役員報酬に対して一定の制限を設けています。

役員報酬に対する税務上の規制

以上の理由から、役員の給与や賞与は、税務上の費用(損金)とすることが厳しく制限されています。

具体的にいうと、役員報酬は原則費用とは出来ず(損金算入不可)、以下の3つに該当する場合のみ、例外的に費用とすることが出来ます。

  1. 定期同額給与
    1月以下の一定期間ごとに毎回同額が支給される役員報酬
  2. 事前確定届出給与
    税務署に事前に届出をし、その届出どおりに支払われる役員報酬
  3. 利益連動給与
    同族会社でない会社が、その事業年度の利益に関する指標を基準にして支給する役員報酬

繰り返しになりますが、上記にいずれにも該当しない場合は税務上の費用とすることは出来ません。

利益操作による税逃れを防止するために、あらかじめ決められたルールで支払われる給与のみを費用として認めているのです。

これら3項目の内容については、次回以降、詳しくみていきます。

役員の範囲

さて、役員報酬の規制対象となる「役員」とはどのようなものでしょうか?

取締役、執行役、監査役など、会社法で役員とされている者が法人税法において「役員」となるのは当然ですが、法人税法条の役員は、もう少し広く定義されています。

すなわち、会社法で役員とされている者に加えて、形式上は従業員であっても会社経営に従事している人は、法人税法上は役員(みなし役員)として扱われるのです。

具体的には、以下の者が該当します。

1.会社の従業員以外の人で会社の経営に関与している人

  • 取締役・理事ではないが相談役、顧問、総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長などといった、その会社内における地位や職務などからみて、他の役員と同じく実質的に会社の経営に関与している人が該当します。

2.同族会社の従業員のうち、下記条件を全て満たす人

※同族会社とは、株主等3人以下と、その株主等と特殊の関係 ( 親族など )にある個人・法人が所有する株式等が50%を超える会社をいいます。

  • 会社の経営に関与している従業員
  • 株式所有割合が高い株主グループ ( 親族関係など特殊な関係にある個人・法人 ) を上から順番に並べて、50%になるまでの株主グループに入っている従業員
  • 10%を超える株主グループに入っている従業員
  • 自分自身 ( 配偶者と自分の持分が50%超の会社含む ) の所有割合が5%を超えている従業員

中小企業のオーナー社長の親戚が、会社に勤めている場合などは、税務上のみなし役員に該当するケースがあるため注意が必要です。

なかでも、オーナー社長の奥さんは、会社の株をまったく持っていない場合でも、持株割合の要件を満たしてしまうことになります。会社の経営に従事しているか否かの判定は、事実認定で税務当局と意見の食い違いが出ることが少なくありません。オーナー社長の奥さんは、役員とみなされる可能性が高いと用心しておきましょう。

過大な役員報酬

定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与の条件を満たす役員給与であっても、その支給額が不相当に高額な部分については、会社の費用にすることができません。

例えば、役員甲に毎月150万円の役員給与を支給している場合、相当な部分が80万円だったとすると、80万円は費用になりますが70万円は費用になりません。

役員給与のうち不相当に高額な部分の金額は、下記の基準のうち金額が小さい方の基準を用いて、その基準を超えた部分の金額になります。

  • 形式基準
    会社の定款や株主総会の決議などによって定められた形式的な支給額
  • 実質基準
    役員の職務内容、会社の利益水準、類似規模の同業他社の役員給与支給水準などを総合的に勘案して相当と考えられる支給額

 

役員報酬は高額になることが多く、万が一、税務上否認された場合、税額に与える影響は大きくなります。

判断に迷う場合は、事前に税理士に相談することが必要です。


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ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。