役員報酬の税務〜定期同額給与ってなに?

201611161050

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

 

前回の記事では、役員報酬に関する税務上の取扱いの概要を解説しました。

役員報酬の税務〜まずは全体像から解説します。

税務上は、役員報酬を増減することによる利益操作を排除するために、あらかじめ決められたルールに従って支給されるもの以外は、費用と認めないという規制でした。

今回は、税務上費用と認められる役員報酬のひとつである、「定期同額給与」について解説します。

定期同額給与とは?

定期同額給与とは、その名のとおり、定期=毎月、定額=同額で支給される給与のことです。

具体的には、事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものです。

2016 11 16 1118

このように毎月の支給額が年度を通じて一定の場合のみ、役員報酬の損金算入(費用処理)が認められます。

※後に見るように、定時株主総会での役員報酬の変更は認められます。

 

給与改定が認められる場合

役員給与は定期同額が原則ですが、給与改定(増額・減額)が認められる場合があります。

具体的には、以下の3つの場合です。

  1. 通常改定
  2. 臨時改定事由による改定
  3. 業績悪化改定事由による改定

以下、それぞれについて見ていきましょう。

通常改定

定時株主総会による決議を経た増額・減額改定です。

役員報酬は株主総会の決議事項で、多くの会社は期末日後3ヶ月以内に開催する定時株主総会で、役員報酬の額を決議します。

そこで税法も、定時株主総会決議による役員報酬の改定を認めています。

2016 11 16 1215

したがって、報酬改定の前後で支給額が一定であれば、全額損金算入(費用処理)が可能です。

 

臨時改定事由による改定

文字どおり臨時的な理由で変更される役員給与の変更をいいます。

税務上は、以下の事由に基づく役員報酬の改定は、事業年度開始後3ヶ月を経過した後で行われたものであっても、定期同額給与として扱われます。

  • 役員の職制上の地位の変更
  • その役員の職務の内容の重大な変更
  • その他これらに類するやむを得ない事情

たとえば、社長が病気により入院した場合に、その職務内容の一部又は全部の遂行が不能になった場合は、役員の職務内容に重大な変更がある場合に相当すると考えることができます。

同様に、社長が退院して元通りの職務に復帰した場合も、役員の職務内容に重大な変更があると考えることができます。

したがって、これらを理由に役員報酬を変更した場合には、定期同額給与として扱われ、全額損金算入が可能です。

2016 11 16 1233

 

業績悪化改定事由による改定

その事業年度において会社の経営状況が著しく悪化したこと、その他これに類する理由により行われる役員給与の改定をいいます。

この場合は、定期給与の額を減額する改定の場合に限り認められます。

たとえば、以下に該当する場合には、業績悪化改定事由として認められるとされています。

  1. 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
  2. 取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
  3. 業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

出所:役員給与に関するQ&A (平成24年4月改訂 国税庁)

 

ここにあるように、単に業績悪化しただけでは業績悪化改定事由としては足りず、第三者との関係上、役員報酬の減額せざるをえない事態となっていることが必要です。

「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけではなく、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、これも含まれることになります。

出所:同上

 

「資金繰りが悪化した」、「最終損失が見込まれる」という理由だけでは、 業績悪化改定事由に該当しませんので注意が必要です。

定期同額給与と認められない場合は?

では、事業年度中の役員報酬の改定が、定期同額給与と認められない場合にはどうなるのでしょうか?

結論からいうと、増額または減額した部分が、税務上の費用として認められなくなります(損金不算入)。

具体的に見てみましょう。

 

役員報酬を増額した場合

期中に役員報酬を増額したが上記3つのケース(通常改定、臨時改定事由、業績悪化改定事由)のいずれにも該当しない場合には、増額部分が税務上、損金不算入となります。

2016 11 16 1310

上記の例で、増額が月20万円であれば、20万円✕5ヶ月分の100万円が、税務上の費用として認められないことになります。

 

役員報酬を減額した場合

逆に、役員報酬を減額した場合は、以下のとおりです。

2016 11 16 1313

減額前後の報酬の差額が損金不算入となります。

上記の例で、減額が月20万円であれば、20万円✕7ヶ月の140万円が税務上の費用として認められないことになります。

 

 

定期同額給与の基本は以上です。

特に、業績悪化改定事由は税務上、厳しく制限されています。

役員報酬を決定する場合には、報酬の減額改定はまず認められないことを前提に、慎重な検討が必要です。

次回は、事前確定届出給与について解説します。

 


東京・世田谷区の藤村総合会計事務所

中小零細企業のみなさまに、決算・申告、資金調達、資金繰り改善など豊富なサービスをご提供いたします。

 

 【業務メニュー】


無料冊子『融資獲得7つのポイント』プレゼント

多くの経営者の皆さまがお悩みなのが、会社の資金繰り。しかし、日々資金繰りに追われていては、会社の本業に注力することはできません。

本冊子ではあなたの会社を「銀行からお金を借りやすい会社」に変身させるための7つのポイントを解説します。

この1冊で、あなたの会社はもう資金繰りに困らない!

いまなら、お得な特典もついています。

ぜひダウンロードのうえ、ご活用下さい!


ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。