法人税務の基本のキホン〜加算・減算って何?課税所得の計算方法を解説します。

20170126001

こんにちは。東京・世田谷区、法人専門の税理士 藤村です。

 

前回は、財務会計における収益・費用と、税務会計における益金・損金の違いについて解説しました。

前回記事:法人税務の基本のキホン〜費用と損金、収益と益金。似ているようで微妙に違う、両者の違いを解説します。

今回は、前回までの理解を踏まえ、財務会計上の利益をもとに、税務上の課税所得を計算するプロセスについてお話します。

キーワードは「加減算」です。

 

前回の復習

前回の復習です。

まず、財務会計と税務会計の目的に違いがあるとお話しました。

  • 財務会計の目的:利害関係者に対する情報提供
    →財務諸表の作成について経営者に裁量あり
    見積り・判断の要素大
    保守主義の原則
  • 税務会計の目的:課税の公平
    →恣意性排除の要請大

両者にはこのような目的の相違があるので、それぞれの計算要素である「収益・費用」「益金・損金」との間に乖離が生じます

一般的に、費用と損金では

費用 > 損金

の関係になることが大きく、

収益と益金とでは、どちらが大きくなるかはケースバイケースです。

 

課税所得の計算方法

それでは、課税所得の計算方法を見ていきましょう。

 課税所得=益金−損金

ですので、益金・損金を計算して、差額をとれば良い気もします。

しかし、これですと、益金・損金の金額をそれぞれ計算しなくてはならないので、面倒ですよね。

せっかく、財務諸表を作成する際に、収益、費用、利益を計算しているわけですから、これを利用したほうが効率的です。

そこで、税務実務では、財務会計の利益に、「収益・費用と益金・損金」の差を調整して、課税所得を計算します

この調整項目には以下の4種類があります。

益金算入項目

会計上は収益ではないが、税務上は益金となるもの

  • 圧縮積立金取崩額など

益金不算入項目

会計上は収益であるが、税務上は益金とならないもの

  • 受取配当金の一部
  • 法人税還付金など

損金算入項目

会計上は費用ではないが、税務上は損金となるもの

  • 圧縮積立金積立額など

損金不算入項目

会計上は費用であるが、税務上は損金とならないもの

  • 交際費、寄附金の限度超過額
  • 減価償却費の限度超過額
  • 資産の評価損
  • 減損損失
  • 各種引当金など

このうち「損金不算入項目」が最も種類が多く、課税所得の計算は、費用として会計処理されているもの中から「損金不算入項目」を拾い上げていく作業が中心となります。

これらの調整計算をおこなう申告書を「法人税申告書別表四」といいます。

2017 01 26 1632

所得計算の仕組み

では、具体的に所得計算の仕組みを見ていきましょう。

課税所得は、会計上の当期純利益をスタートにして、以下のように計算します。

課税所得=当期純利益+益金算入項目+損金不算入項目−益金不算入項目−損金算入項目
2017 01 26 1704

つまり、会計上の利益に対し、「収益・費用」「益金・損金」の食い違いを調整する(加減算)ことにより、課税所得を計算するのです。

会計上の利益と税法上の所得は多くの部分が一致していることを前提に、益金・損金を一から計算する手間を省いているといえます。

このように、当期純利益との差異を調整して課税所得を計算する手続きを「申告調整」といいます。

申告調整事項は、税法による規定に従って申告書上で処理され、法人税申告書別表4にその内容を記載します。

 

申告調整の具体例

続いて、具体例を見てみましょう。

【設例】

A社の決算書は以下のとおりである。

2017 01 26 1733

以上の情報をもとに、別表4を作成すると、以下のとおりとなります。

2017 01 26 1735

別表4のスタートは、当期純利益です。

ここでは、決算書から当期純利益 2,800をもってきます。

(注)本当は税引後当期純利益を使用するのが正しいのですが、本設例では簡単化のため税引前当期純利益を使って説明します。どちらでも本質は変わりません。

 

続いて、加算項目を計算します。

A社の決算書には、

  • 交際費 500
  • 減損損失 1,500

が計上されていますが、このうち、

  • 交際費 300
  • 減損損失 1,500

が加算項目(損金不算入)に該当します。

 

減算項目は、

子会社からの受取配当金 300

のみです(益金不算入)。

以上の項目を、当期純利益に加減算すると、課税所得は4,300となります。

 

 

以上、課税所得の計算方法について解説しました。

「加算」「減算」の意味はご理解いただけましたでしょうか?

本連載が、みなさんの法人税務に関する理解の一助になれば幸いです。

 


東京・世田谷区の藤村総合会計事務所

中小零細企業のみなさまに、決算・申告、資金調達、資金繰り改善など豊富なサービスをご提供いたします。

 

 【業務メニュー】


無料冊子『融資獲得7つのポイント』プレゼント

多くの経営者の皆さまがお悩みなのが、会社の資金繰り。しかし、日々資金繰りに追われていては、会社の本業に注力することはできません。

本冊子ではあなたの会社を「銀行からお金を借りやすい会社」に変身させるための7つのポイントを解説します。

この1冊で、あなたの会社はもう資金繰りに困らない!

いまなら、お得な特典もついています。

ぜひダウンロードのうえ、ご活用下さい!


ABOUTこの記事をかいた人

東京都世田谷区の公認会計士・税理士 藤村千秋です。大手監査法人、M&Aコンサルティング、税理士法人を経て、2016年9月に独立開業しました。中小企業、ベンチャー企業に対する法人税務、資金繰り改善、経理業務効率化、M&A支援を得意としています。職員を雇わず、公認会計士・税理士である藤村が、すべてのお客様をサポートいたします。